
ウルシの木について
株式会社さくらファームはウルシの木の栽培に取り組んでいます。
大郷町大松沢で数十年間遊休農地となっていた9.7haの土地を開拓し、2021年1月までに約7000本のウルシ苗木を植樹しました。毎年植樹を行い本数を増やしていく予定です。
先の話にはなりますが、この先5年〜10年かけて成長したウルシの木からは 漆 を取ることが出来るようになります。
国宝や重要文化財の修復に必要不可欠な国産漆の生産は年々減少の一途を辿ってきました。平成28年には自給率3%程度となり、その大半を中国からの輸入に依存している状況です。
平成27年文部科学省にて、平成30年以後の国宝・重要文化財の修復に使用する漆は国産に限定する、という決定がなされました。
しかし、修復に必要な量に対し、国内の生産量が足りていない状況です。
先人達が守り続けた日本の歴史、文化、芸術、技術を次世代に繋げていくためには、国内漆を安定的に生産、供給していくことが不可欠です。
私たちさくらファームも、日本の文化の継承のためという意義に共感し、ウルシの木の栽培を始めました。
ウルシの種まき
さくらファームでは、ウルシ苗木を育てるために種まきから行っています。
ウルシの種は、まく前に数日間吸水させます。吸水を行った種は、水を吸う前と比べ少しふっくらし透明感やつや感が出てきます。この状態になった種をハウス内にまいていきます。
まく時期は4月上旬もしくは秋頃です。発芽タイミングは3月〜5月頃となります。


ウルシの発芽
ウルシの発芽率は低く、約1割ほどしか発芽しません。
さくらファームでは、発芽した貴重な苗を1つずつポットに移し、水分管理や病害虫対策を行い、育苗しています。
特に水分の管理が重要で、土が湿りすぎても乾燥しすぎても幼い苗はすぐに元気を無くしてしまうため、こまめな管理が必要となります。
ポットで成長した苗木
発芽後、夏までの数ヶ月間でウルシの苗木は高さ20cm~30cmほどに成長します。
さくらファームでは、この大きさまで成長した苗木を山の傾斜地に植樹しています。


山の傾斜地への植樹
ポットで20~30cmの高さまで成長した苗木を、さくらファームでは夏~秋にかけて山の傾斜地に植樹しています。
冬に一度葉っぱが全て落ちますが、翌春には再度元気な葉をつけます。
漆の採取までは植樹から5年~10年かかるといわれています。長い道のりになりますが、日本の文化継承の一助となれるよう、頑張っていきます。